の命 V
 そうして黒砂を旅立って暫くして、巫は青砂の青年と会い旅を共にする事になる。

「ところでさ、カディは死にたいの?」

 真面目な顔をして聞いてくるその内容は、普通の雑談から写るにはどうかと言う話題だったが、この青年はそんな事を気にするタイプではないと共に旅を始めてから一年目の今は解っているので敢えて言わない。

「死ねるのか、それが知りたいの?」

 言葉は、死を招く。

 巫の言葉は否定的な言葉を含んでいれば、言霊となって相手の命を奪いかねない。
 離せ、と言えば相手の腕がもげる。
 姿を見せるな、と言えば相手はどこか遠くに見えない力で飛ばされ、生死の確認は出来なくなる。

 だから死の巫は言葉を自ら封印している。
 そんな理由から会話はずべて身振りだったが、砂青の青年は意思を汲む事に長けていて、会話に困る事は無かった。

「カディ、あそこに占い師がいるよ。珍しいから何時死ねるか見て貰ったら?」

 物珍しさも手伝って、気軽な気持ちで見て貰った占いで巫はこんな託宣を受けた。

『汝が死す時、それは命長き者と共にある時。
 命長き者と行動すれば、汝が願いは叶うであろう』