月が消える。

月の光が消える時、一つの命が消えようとしていた。

「なぜだ? なせ不死の娘が死ぬ!」

 不死の娘は不老不死の妙薬。
 それを信じ娘を食らおうとした赤の王が、娘に駆け寄ろうとした瞬間、突如生じた亀裂に飲み込まれ暗い地中へと落ちて行った。



 五色の砂が全ての世界に、旅をする若い青年が二人。
 カディとナーク。

 立ち寄ったある町で、赤の軍に追われる娘リルを助けた事をきっかけに、伝承を巡った事件に巻き込まれて行く。

「僕達にも旅の目的はあるんだよ」

 巻き込まれた筈の事件に、徐々に自分達の目的が関係してくる事が明らかになり、ついにリルを追う赤の軍と対決する時が来た。

「五つの血は流れた! 伝承が始まるぞ!」

 伝承に固執する赤の王。

 隠れて行く月に比例して弱まる鼓動。 

「リル、死ぬな!」

 不死の少女が死ぬのは月の陰りか? 伝承の力か?

 カディとナークの旅の目的は果たせたのか?

「リル! カディ! 逃げろ!」

 強大な流れに巻き込まれたのは偶然か、必然か。

 答えは

月だけが知っているのかもしれない。