ファッションブランドを立ち上げる事を夢とする真琴は、演劇部の卒業公演衣装を依頼され引き受ける事になった。
 だが、話し合いの為訪れた部室で演劇部員同士の口論が。
 口論の原因、明良は、女子では珍しく裏方希望の為、役者との兼任を拒否していたのだ。
 口論の末明良は退部に追い込まれてしまう。
 数日後偶然明良と会った真琴は、役者をやりたくないちゃんとした理由を聞いた。

「将来舞台音響やりたいから、話し合いから裏方として体験しておきたかったんだ」

 真琴は明良の意見に共感した。自分と同じく将来の目的を持っていた明良を応援したかった。
 が、明良からは予想もしていなかった『諦める』と言う言葉が飛び出した。
 聞けば、親からの反対と中々決まらない進路に悩んでいるのだという。

「諦めるなよ」

 その真琴の言葉に、明良からの返事はないまま夏休みに突入した。
 夏休みの学校見学で真琴は明良の進路に有力な情報を得て来た。
 それを聞いて明良は自ら動く事が大事なのだと痛感する。
 そんな時、出来上がっていた公演用衣装が切り刻まれると言う事件が起こった。しかもその犯人は同じ裁縫部の仕業だったのだ。

「躊躇無く切れるのは俺の作品に魅力が無いからだよな? いつか君を納得させられる物を作るよ」

 そのあくまで前向きな真琴に触発されて、明良も自分から動き出した。
 演劇部に本当の気持ちを伝えて、裏方をやらせて貰う為に。

「明良、お前裏方やっていいって!」
「ほんとに?!」

 成功を収めた公演の後で二人はお互いに未来の仕事依頼をする。真琴のブランドショーを明良が裏方として作ると言う依頼を。
 そして十数年後に約束を果たした二人が作ったショーのタイトルは彼等らしい物だった。

『Not Yield!〜夢を諦めない〜』