翌朝
 会議が始まって七日目

「うあぁああ!」

 屯所の至る所に血が流れ、悲鳴が上がっている。
 生き残っている隊士達も何かに襲われ、斬り刻んで弄ばれたかの様にボロボロになった隊服を着て逃げ惑う。

「くそ…なんで……!」

 どうしてこんな事になったのだと、疑問を向けたその先に隊士の少年は切り殺されて血溜まりに崩れ落ちた。
 そうして、血濡れたその場で斬り殺した隊士をつまらない物のように転がしながら呟く人がいた。

「新撰組も、ずいぶん減りましたねぇ……」

 くすりと笑うその人は、昨日まで皆と共に人狼を倒す為の会議を率先して取り仕切ってくれていた、あの山南だった。

「山南さん! なんで……!!」

 縋る隊士を次々と斬り伏せる山南の目に、昨日までの優しさは微塵もなかった。

「永倉くん、永倉くーん? いるんでしょ?」
「山南さん…よくも皆を…っ!」

 昨日まで会議をしていた場に、大量の血溜まりを作って不敵に笑う山南の正体を、永倉はやっとわかったのだ。
 彼が人狼だったのだと。

「人間ごときが人狼に敵うとでも?」
「っぁ!」

 怒りに振りかざした刀を素手で掴み取まれ、想像以上の力に永倉は動けない。そのまま刀を奪い取られガラ空きになった人の身を、持ち主の刀で人狼は愉快そうに切り刻む。
 腕を、胸を、弄ぶ様に浅く斬りつけながら嘲笑う。
 狩りを楽しんでいる、獣の行動だ。

「僕はね、永倉君。君が好きでしたよ。だからこの時を待っていたんです! ははっ!!」
「くそぉ…!」

 怒りにまかせて突撃をする永倉の、胴を山南の刀が薙ぎ払う。
ろくに刀を振る事も出来ないまま、人狼の餌食となって永倉もまた、仲間達の血溜まりの中に倒れていった。

「これが二番隊組長ねぇ……」

 事切れた永倉に興味を失ったのか、吐き捨てる様に言い捨てて、刀も投げ出し山南……いや、人狼はふらりと歩き出す。

「近藤? 土方? 沖田? はっ! 結局人間だ、てんで大した事ねぇなぁ! 人狼さまが最強なんだよ!!」

 高笑いを残し、仲間の死をも利用した人狼は新撰組を壊滅し、京の町へと姿を消したのだった……。

































人狼:山南敬助・土方歳三・藤堂平助
狂人:吉村貫一郎
預言者:近藤勇
霊媒師:原田左之助
狩人:沖田総司